漏刻の話

近江神宮 漏 刻
 6月10日は「時の記念日」です。天智天皇の10年(671年)4月25日、漏刻(ろうこく)と鐘鼓によって初めて時を知らせたという『日本書紀』の記事にもとづき、その日を太陽暦に換算して、定められたといわれます。現在ではカレンダーを見るといろいろな記念日が掲載されていますが、各種の記念日のなかでも時の記念日は最も初期に定められています。

第1回時の記念日は今からちょうど100年前大正9年(1920)のことでした。大正時代と云う時代背景からもう分かるように、衣食住をはじめ社会生活の近代化に進もうとする当時の勢いは凄かった。特に時間厳守ということで、時間を節約することによる効率性の向上が近代生活の基本として位置づけられたようです。生活改善運動として当時の渋沢栄一等が活躍した時代でした。私が子供の頃、銭湯の柱時計の隣に「時間守って楽しい集い」なんて古めかしい標語があったのを今でも覚えています。

3年程前、近江神宮を訪ねた時、話に聞いていた漏刻の展示物を見ることが出来ました。これが日本の時計の始まりという事は知られております。三段に重ねたマスから流れ出た水の糧で時間を知るなんて(古代のメソポタミアや中国では水時計として存在していたことは知られていた)昔の人達は大変な思いでこの精巧な水時計を作っていたことを知って、改めて時代の流れを噛み締めた次第でした。近江神宮では漏刻祭として現在も昭和16年6月から絶えることなく現在に引き継いでいるそうです。

 令和3年  水無月          八 大
 


 

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