皇室の彩(こうしつのいろどり)
先ごろ久し振りに東京芸術大学美術館に足を運びました。大正から昭和への時代の変化の時に、皇室の方々の御成婚や御即位などのお祝いのために、当代一の美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作されました。それらの献上品は宮殿などに飾られていましたが、その役目を終えて三の丸尚蔵館に静かに眠っていました。
今回百年前の文化プロジェクトとして特別展示されたということです。各分野の美術工芸家130人余りが力を結集してた80点の、絵画・木彫・陶器・蒔絵・螺鈿細工・・などどれをとっても伝統技術を受け継いだものが展示されており最高水準の室内に飾る美術工芸品であります。
その中で私の目に一際異彩を放ったものがあります。
それは[御飾棚]鳳凰菊紋様蒔絵(おんかざりだな、きくもんようまきえ)であります。
5年もの歳月をかけて作られた縦横一間(1,8ⅿ)ぐらいの大きさで見事な文様の蒔絵と螺鈿細工であります。絵柄に近づいて覗き込むと皇室を表す菊の紋章の中を鳳凰が嘴に小枝をはさんで飛んでいる様子が見えます。これぞ新しい家庭を築くことを表していることであり皇太子ご成婚を意味するもので螺鈿細工の輝きが美しいものであります。この飾り棚の上に更にどんなものが載せられたんだろうと想像すると別世界を感じます。
鳳凰とは
中国神話での伝説の鳥、霊鳥である。日本や韓国など東南アジア全域にわたって装飾やシンボル、物語などに登場しています。
前漢時代に成立された類語辞典によれば頭は鶏、顎は燕、頸は蛇、背は亀、尾は魚であり
色は黒、白、赤、青、黄の五色で背丈は六尺ほどであると書いてある。
春秋戦国時代の論語には「聖天子の出現を待って、この世に現れる」と云われる瑞獣の一つとされ、またその生態を「鳳凰は梧桐にあらざれば棲まず、竹実にあらざれば食わず」あります。その意は霊泉(甘い水)を飲み60年に一度実を結ぶ竹の実を食べ青桐の林に棲んでいると
云います。
平等院鳳凰堂の屋根の飾りは有名ですが日本国政府の紋章となってい
る五七の桐はそこから来ていると言われています。
平成27年12月 八大
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