山吹の話

晩春に鮮やかな黄色の花を毎年届けてくれる山吹ですが、古くから親しまれた花で家庭でも栽培されています。最近では一重の他に八重の花を見る機会が多くなっていますね。多分愛好家が収集育成しているのでしょうね。山吹はバラ科の落葉低木で北海道から九州まで広く分布しており国外では中国でも多く育っているそうです。山の中に生えしなやかな枝が風に揺られる様子から「万葉集」では「山振(やまぶり)」と呼ばれ、転じて山吹になったとも
云われています。

山吹と云うとすぐに太田道灌の逸話がありますがその解釈に違い?もあるようです。普通は八重咲き山吹には実がつかないことを述べた歌とされるが、「七重八重」を山吹が積み重なるように咲く様子と解し、山吹の果実が堅くて食えないので、「山ほど花が咲くのに、食える実がつかないのは情けない」とする解釈もあるらしい。

山吹には実がつかないと思われがちであるが、実際には一重の基本種には立派に実が付いております。八重ヤマブキの場合は雌しべが退化して花弁になっているため、実を結ぶことがないそうです。日本で昔から栽培されてきた山吹の多くが実をつけない八重咲き種であったため、ヤマブキは実をつけないと言われるようになったようです。

また、山吹色と云えばオレンジ色黄色の中間色のことでありますが、山吹の花のような鮮やかな赤みを帯びた黄色のことです。別名「黄金色」とも呼ばれ江戸時代での隠語では「賄賂の小判」が「山吹」と呼ばれました。色名は黄色の花を咲かせる植物の山吹に由来し、平安時代から用いられて来ました。

山の中に生えしなやかな枝が風に揺られる様子から万葉集では「山振」と呼ばれ、転じて「山吹」になったと云われています。晩春に花が咲くことから春の季語となっています。昨年に珍しいと云われる「白いヤマブキ」を見せられましたが姿かたちも良く似ていました。けれどもこれは山吹とは関係のない品種とのことでしたよ。


 令和3年 卯月            八 大










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