藤袴 秋の七草

 秋に七草の一つでもある藤袴は日本各地に広く分布しているが、これがそうですと言われてもピンとこない人が多いのではないか。古く万葉集や源氏物語の作品にも登場しています。

 生草のままだと無香ですが乾燥させると桜餅のようなほのかな香りがします。昔の女性たちは乾燥した藤袴を香料として十二単に忍ばせておしゃれアイテムとして活用していました。
 最近では環境省のレッドリストには準絶滅危惧種に指定されてしまいました。園芸店でもフジバカマとして売られていますが、ほとんどが雑種でサワヒヨドリというまがい物らしいです。背丈は約1m。茎はかたく直立し、断面は円柱状です。葉はやや硬くて、光沢があり、三裂して鋸歯状に切れ込みます。そして8月から10月にかけて、茎の頂に淡くて紅紫色を帯びた小さな花を、管状、散房状につけます。一つ一つの花弁は、美しい藤色で、形が袴をはいたようで藤袴と云います。
 
 地味な花ですが、キク科の多年草で澄んだ青空のもと、野山や川岸で花序が揺れる姿は、秋の訪れを感じさせてくれます。花言葉は 「ためらい」「あの日を思い出す」「優しい思い出」「遅延」・・・など。

 花の形をよく見るとなんと旧満州国章でフジバカマを図案化したもので蘭花紋と呼ばれるもので1,932年(大同元年)に制定されていたものです・・・?

万葉集 
 なつかしき移り香ぞする藤袴 われより先に妹や来てみし  藤原頼輔

万葉集  七種(ななくさ)の花
 萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花
                               山上憶良

令和 元年 9月                      八 大 
  


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