ヤマボウシ

 15年ぐらい前だったと思いますが赤城山麓の原生林を切り開いて建てたという俵萌子さんの美術館に立ち寄ったことがあった。小さな館内には絵画や陶芸作品が品よく並べられており作者の思惑が感じられます。その屋敷の正面には真っ白い笠を被ったヤマボウシの大木が繁っていました。木々の間からは小川がゆっくりと流れており異次元の時間が流れているようにさえ思えた。

ヤマボウシ(山法師)は、日本から中国・朝鮮半島に分布する落葉高木で、日本では沖縄・九州・本州の山地に自生し、大きくなると10メートル以上の高さに生長します。ヤマボウシとハナミズキを混同する人が多いですが、ヤマボウシは日本が原産なのに対して、ハナミズキはアメリカからの外来種です。見た目や性質も似ているようで細かなところが違い、ヤマボウシの総苞片(そうほうへん)は先端が尖っているのに対して、ハナミズキの総苞片は丸みがあり、先端が窪んでいます。総苞片の美しさや育てやすさか
ら街路樹や庭園樹として人気が高く、江戸時
代には海外で観賞用樹木としても栽培されて
いたそうです。

白い花びらに見える総苞片を坊主頭と頭巾に見立てて「山法師」と名付けられたと言われていますが、比叡山延暦寺の僧兵は山法師とも呼ばれています。平安時代,比叡山延暦寺の僧兵は貴族や武士の侵略から守るために発生したがその多くは私度僧と呼ばれ無頼の輩が多かった。延暦寺日枝神社の神輿をを担いで都に繰り出し、寺社側の強硬な態度で無理やり要求を押し通そうとしたことが長い
間続いた歴史がありました。時の白河法皇「賀茂川の水、双六の賽、山法師これぞ
我が心にかなわぬ物はなし」と嘆いたと言われました。

我が家のヤマボウシは、寒い冬の間は葉を落とし暖かな陽を窓一杯に入れてくれましたが今年も白い笠をつけて咲き始めました。花ことばは友情です。みどりの風と共に庭一杯に山法師の白装束姿を見せてくれる今、メジロが来てヤマガラ・尾長・・・と続いて初夏が訪れます。


 令和2年   皐月        八 大










































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