♯♯ 菜の花畠に入り日薄れ、見わたす山の端 霞ふかし ♯ 春風そよふく空を見れば、夕月かかりて 匂いあわし。
♭♭ 里わの火影(ほかげ)も森の色も、田中の小路をたどる人も、
♭ 蛙(かわず)の鳴く音も鐘の音も、さながら霞める朧(おぼろ)月夜
朧月夜 |
そのころと今では時代背景が違うはずなのに誰でも声に出して歌えるなんて国歌みたいですね。私たち日本人の心の中に染みついてしまっているもの、感性のようなものなんでしょうね。春ってみんながウキウキする季節、ヨーイドンで新年度が始まりました。
霞(かすみ)は、夜になると「朧(おぼろ)」と呼び名が変わるそうです。歌詞の1番は「かすみ」から 2番の「おぼろ」へ、風景は夕闇に包まれていきます。この歌は、夜へと流れる時間が歌われていると云われます。「匂い」は、古くは視覚を表現する言葉で「色合い」という意味と云います。耳でとらえた音さえ淡くかすんでしまうような春の宵と表現が素晴らしいですね。
「朧(おぼろ)」とは、つかみどころなくぼんやりと霞んではっきりしない様子を云いますね。「朦朧(もうろう)」という言葉はどちらも月編で神秘的です。更には朧という字には「神秘的な空想上の生き物を表します」という意味も含まれているそうです。
卯 月 八 大