月と星
昨夜の満月を見られましたか?
この時期の星座の輝きは先月十五夜の月とは一味違って素晴らしかった。
夜半を過ぎようとする頃西の空に月輪は輝き隣りの家の屋根に沈もうとする寸前でしたが、十五夜の月より一回り小ぶりな姿で神々しく黄金の光を放っていました。東の方角には明けの明星が輝き、また頭上に目を移すと北斗七星がくっきりと見えた。
まるでその恰好は土俵の下で力水を付けているような姿に感じられた。
更に目を凝らしてみると虚空一面にかすかな光を放つ無数の星座
群がみえた。
見上げているとふと金子みすゞの詩「星とタンポポ」の一節が思い浮かんできた。
それは次のような詩です。
青いお空の底深く、
海の子石のそのように
夜が来るまで沈んでる、
昼のお星は目に見えぬ。
見えぬけれどもあるんだよ
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽは、
かわらのすきに、だぁまされて、
春がくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
みえぬけれどもあるんだよ。
見えぬものでもあるんだと。
金子みすゞとは、26歳の若さでこの世を
去った童謡詩人。
その生涯に、500あまりの童謡詩をつ
くる。西條八十に認められながらも、夫
に詩作を禁じられたり不治の病を負った
悲しみから自殺をとげているが、我が子
が話す言葉を丹念に書き留めて言葉の持
つ神秘さや奥深さに感動していた。
もっと長く生きて詩を作りたかったに違
いないと思った。
平成30年11月 八大