宵待草と月見草

 

「待てど暮らせど 来ぬ人を  宵待草の やるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」

    「暮れて河原に 星一つ 宵待草の 花の露 更けては風も 泣くそうな」


竹久夢二は数多くの美人画を書いているがその抒情的な作品は大正ロマンを色濃く残しており児童雑誌や詩文の挿絵などにも残っています。また宵待草で思い起こすのは新しもの好きな私の叔父が手廻しで聞かせてくれた蓄音機で聞いた大正浪漫溢れるメロディー私たち世代では今でも頭の奥底に残っているのではないでしょうか。

黄色に咲いているのは「待宵草(まつよいぐさ)」 で原産地は南北アメリカで元々はなかった植物でしたが、戦後~昭和の30年代に繁殖力が強く日本中の空き地に大群落を作ってしまったものです。けれどもその待宵草も今ではご存知の通りセイタカアワダチソウに取って代わられてしまっているのが現状ですすね。

月見草っていう名前は誰でも聞いたことがあると思いますが宵草、宵待草は何だか分かりずらいですよね。花に興味のない人でも、すぐに竹下夢二を思い起こす人がいるでしょう。この月見草という花はマツヨイグサ属に属するメキシコ原産の一年生草本で、江戸時代の末頃に観賞用として日本に入ってきました。ところで、月見草の花は黄色だと思っている人が多いことにビックリですが白なんです。月見草っていうくらいだから、夕方から咲き始めて翌朝には萎んでしまうんだけど、萎む頃には花びらは薄ピンク色に染

まっている。




夢二の「宵待草(よいまちぐさ)」っていう詩は、最初は「待宵草(まつよいぐさ)」と本人の自筆で書かれていたようだけど、語感の良さから夢二本人が途中から「宵待草(よいまちぐさ)」と書き換えたらしいです。でも、それにメロディーがついて大ヒットしたもんだから、「宵待草」という呼び名も大正~昭和の始め頃までは、メジャーになってしまったようです。でも、最近は聞かれなくなりましたが懐かしいですね。

さて、マツヨイグサの仲間には昼咲きのものもあって、その代表格がヒルザキツキミソウと呼ばれるピンクの花を咲かせる宿根草です。一度植えておけば、大した世話をしなくても、初夏から夏にかけて爽やかなピンクの大きな花を咲かせ続けるので、先の園芸ブームの頃から結構人気がありましたから、皆さんの中にも庭に植えている人がおられるでしょう。

名前の由来 夕方を待って咲き始めることから来ているそうです。

花言葉〉 打ち明けられない打ち明けられない恋・無言の恋・自由な心・美人
      うつろな愛・移り気な人・浴後の美人

 令和2年   文月       八 大














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