上海蟹 |
中国料理の秋冬の風物詩といえば上海蟹。「菊黄蟹肥(菊の花の季節に蟹が肥える)」という言葉があるそうで、10月半ばにもなると市場には食べごろの蟹が出て来ます。毎年レストランでは10月中頃から蟹、蟹、蟹で賑わうそうです。黙々と蟹を食べる、面倒くさいけれど美味しい、足元には食べかすが散らかっているがそんな事は気にしない人達が満足げな顔で食べるとき、言葉はいらない。時代が平成に変わる頃のことでした。
中国で一般に上海ガニと呼ばれているのはイワガニ科の一種でチュウゴクモヅクガニです。秋が旬で上海や香港で人気のある食用ガニで、中国の長江流域から朝鮮半島迄の川に棲息しています。なかでも江蘇省蘇州市にある陽澄湖で養殖されるものが海外でも高値で取引されています。その為他の場所で養殖されたものを一瞬だけ水に浸して陽澄湖産としてしまう業者もいるそうです。日本でも昨年、韓国からのシジミの産地偽装の話がありましたね懲りない面々は何処にでも。
秋に十文字に縛られ生きた状態で中国から日本へ出荷される様子は秋の風物詩のひとつです。日本では同種のモズクガニも漁獲量は少ないものの食されています。上海ガニは身が美味しい物の、その量はほんの少ししかありません。メスの殻の内側にあるオレンジ色の内子に大変価値があるそうです。内子には濃厚なうまみが詰まっており独特の酸味が大変な人気です。
食べ方は蟹を丸ごと茹でたり蒸したりしますが、生きたまま紹興酒に漬けた料理も酒の旨味が染み込んでおり大変美味しいもので忘れられない味でした。また身のうまみを生かした蟹汁や蟹飯も大変に旨いですよ一度お試しあれ。
神無月 八 大