表参道・年の暮れ

 年の暮れの散歩に突然思い立ってここ表参道に足を運んだ。何処からこんなに人が集まってくるんだろう、ここ表参道はブランド・ストリート。まばゆいばかりのイルミネーションと洗練されたデザインの建物群が立ち並ぶ姿はテレビで映し出されるニューヨークやパリを思い出させる。若者たちに混ざって言葉を聞いてみると日本語でない私には意味不明な言葉を多く聞こえた、それは地域でくくるんではなく世代で纏められるのではないか。それが若者の街青山~表参道~原宿を流れる底流かも知れない。

 そのほぼ中央に表参道ヒルズが構えているがその前身は同潤会青山アパートの跡地である。大正12年に発生した関東大震災の復興支援のために設立された当時としては近代的な鉄筋コンクリート構造で、当時としては先進的な設計や装備がなされていた。
10年ほど前に表参道ヒルズとして商業、住宅、駐車場の複合施設としてオープンされたもので賑わいの中心になっている。
                        平成29年12月31日    八大
表参道のブランド・ストリート群(雰囲気をお裾分け)




















年齢ではない(心に保湿剤を)

「老いる」も「老ける」も「年をとる」という意味がありますが、一字違うだけで大きな違いがあります。
80歳の加山雄三
「老いる」は実際に年を取ることで、世の中の人だれもが通る道でありあたりまえのことです。一方「老ける」とは年齢にまったく関係なく見た目の風貌が衰えて見える姿を言っていると思います。
 容姿に限らず生きる意欲を失っている姿、何かをしようとする目的がない姿、気力がなくなっている姿などが、老けて見える要因になっていると思います。
この頃特に若者でも老け込む人をたくさん見ることがあります。また中年になっても老け込まずに颯爽として目を輝かせて生活をしている人たちもいます。人は年齢ではなく気持ちの持ちようで表情や雰囲気が変わるもので、心の状態が容姿に現れるのです。
また自分だけと思いながらもその姿は近くの他人に大きく影響を与えているものです。
 時に困難にも見舞われる人生ですが日々の生活に目的を持ち、生きる意欲や気力を呼び起こして明るく、若々しく年齢を重ねたいものです。
                          平成29年12月   八大









声明(しょうみょう) ー仏教と音楽ー

 キリスト教に讃美歌があり聖歌隊があるように、仏教にも仏教を賛美してお経に節をつけて歌う専門の僧侶がいた。2年ほど前に声明を聞く機会がありました、地の底から湧きあがって来る感動を覚えたことがありました。
薬師寺の散華
 お釈迦様がおられる時から説法を記憶するため言葉に節を付けていることがあった。日本には仏教伝来と同時に声明と雅楽が入ってきた。天平勝宝4年4月9日(AD‐752年)東大寺盧舎那仏の開眼供養会でインドの僧である菩提僊那が朗々とした声明がその場の雰囲気を包んだといわれる。平安時代初期には唐から帰った空海、最澄がそれぞれの真言声明・天台声明の基礎を作ったと云うことで1,200年の歴史があるということです。民謡・浄瑠璃・謡曲・浪花節などに広く発展していって、日本音楽の源流となっています。
 多勢のお坊さんが堂内を回りながら声明を唱え散華を撒くとキラキラキラと散らされていく様子を見ていると、人それぞれにいろいろな思いが違って感じられることでしょう。
 声明とは五明(ごみょう)の一つであるそうです。五明とは仏教の学における声明(言語学・文学)因明(論理学)工巧明(工芸技術・算法暦法)医法明(医学)内明(哲学・仏教学)の五つの領域を言い、明とは「究明」であり今の言葉で云うと「学」である。
声明は口伝(くでん)で伝えるため、現在の音楽理論でいうところの楽譜に相当するものが当初はなかった。そのために伝授は困難を極めたそうで、後世になってから楽譜にあたる墨譜(ぼくふ)が考案され今に至っているそうです。声明は五明の第一とされており「一切の教えは皆文字や文法が無ければ前に進めない」と云うことからとのことです。

 「散華」とは
 仏教の経典には仏が説法をする時には天から花が降ってくると説かれていますが、天人が仏を讃美することを示すもので、古くは蓮の花弁や樒(しきび)の葉を撒いていたそうですが、現在では蓮の花弁を形どった和紙を使用しています。
仏を讃美し供養するために仏のまわりを巡りながら花を地にまき散らすのが散華であります。

                          平成29年12月   八大



サトーココノカドー

 先週の土曜日駅西口をうろついていて空を見上げたらヨーカドーの看板が目に入った、よく見たら鳩のマークが塗りつぶされて、コウモリのデザインを製作中・・・ハハ~これは二匹目のどじょうを狙っているのではと直感した。
今年の4月に特別企画「クレヨンしんちゃん25周年記念企画 オラのマチ・春日部にくれば~」の一環で「サトーココノカドー春日部店」に衣替えして営業したことは近隣に大きな話題となったことはご承知のことです。
 クレヨンしんちゃんに登場する商品名や企業名は実在するものに似せており、「サトーココノカドー」もその一つです。春日部の「イトーヨーカドー」はそのモデルで伊藤を佐藤、八日を九日、ハトのマークをコウモリに変えたパロディーは、子供たちに大受けし売り上げにも大きく貢献したようです。
 お店に聞くと年末15日から年明け8日にかけて『クレヨンしんちゃん展』を企画しているそうです。二匹目のドジョウを狙って商機タクマシク再挑戦する姿も、地盤沈下が心配される春日部市にとっては活気を与えてくれる楽しいカンフル剤になりそうです。
ここはひとつ、批判ばかりしてないで大きな心で見守りましょうよ!
                  平成27年12月12日    八大









可哀そうな皇帝ダリア

古利根の皇帝ダリア
  昨日久し振りに古利根川の散歩に出かけたところ皇帝ダリアが皇帝らしくない寂しい姿で咲いていました。その姿は痛々しいもので、歩道の手すりに紐で縛られており皇帝とは名ばかりそれはそれは悲しい姿を見せていました。じっと見つめる私は胸が痛くなり涙さえも滲んできました。こんな年もあるんだ・・・来年また頑張ろうと声をかけてきました。
 私もここ6~7年程前から毎年皇帝ダリアを育てていますが、その居丈だかに立っている姿は皇帝の名に恥じない堂々とした姿は頼もしい限りでした。今年も二株が春先から順調に背丈を伸ばしお盆過ぎのころには隣のお宅の二階の窓下ぐらいに育っておりました。
ところが今年は9月、10月の異常気象の長雨と台風・大風によって3度の損傷に遭遇しま
した1,2度目は倒れ掛かって枝が何本か折れましたが、3回目は根こそぎ倒れてしまい
直径8㎝位に育った幹の中ほどで折れてしまいました。
 それでも翌日に気づければ良かったけれど、あいにくと旅に出ており救急手当てが出来なかったので枝は可哀そうにバラバラ、根は天井を向いて乾燥してる・・・やむなく私が介錯人となったため、今の時期例年のような威厳のある皇帝ダリアを見上げることができず残念であります。
昨年の我が家の皇帝ダリア

 育成のための一言
皇帝ダリアはメキシコから中米に分布しており、茎が木質化して太くなり背丈が7~8ⅿぐらいになります。日が短くならないと花芽ができないので開花の時期が遅く11月の下旬頃から咲きます。また近くに街灯や電灯があると日が長いと勘違いして花芽をつけないことがあるので育てるには注意が必要です。      平成27年12月   八大




皇室の彩(こうしつのいろどり)



 先ごろ久し振りに東京芸術大学美術館に足を運びました。大正から昭和への時代の変化の時に、皇室の方々の御成婚や御即位などのお祝いのために、当代一の美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作されました。それらの献上品は宮殿などに飾られていましたが、その役目を終えて三の丸尚蔵館に静かに眠っていました。
 今回百年前の文化プロジェクトとして特別展示されたということです。各分野の美術工芸家130人余りが力を結集してた80点の、絵画・木彫・陶器・蒔絵・螺鈿細工・・などどれをとっても伝統技術を受け継いだものが展示されており最高水準の室内に飾る美術工芸品であります。


 その中で私の目に一際異彩を放ったものがあります。
それは[御飾棚]鳳凰菊紋様蒔絵(おんかざりだな、きくもんようまきえ)であります。
5年もの歳月をかけて作られた縦横一間(1,8ⅿ)ぐらいの大きさで見事な文様の蒔絵と螺鈿細工であります。絵柄に近づいて覗き込むと皇室を表す菊の紋章の中を鳳凰が嘴に小枝をはさんで飛んでいる様子が見えます。これぞ新しい家庭を築くことを表していることであり皇太子ご成婚を意味するもので螺鈿細工の輝きが美しいものであります。この飾り棚の上に更にどんなものが載せられたんだろうと想像すると別世界を感じます。


鳳凰とは
 中国神話での伝説の鳥、霊鳥である。日本や韓国など東南アジア全域にわたって装飾やシンボル、物語などに登場しています。
前漢時代に成立された類語辞典によれば頭は鶏、顎は燕、頸は蛇、背は亀、尾は魚であり
色は黒、白、赤、青、黄の五色で背丈は六尺ほどであると書いてある。
 春秋戦国時代の論語には「聖天子の出現を待って、この世に現れる」と云われる瑞獣の一つとされ、またその生態を「鳳凰は梧桐にあらざれば棲まず、竹実にあらざれば食わず」あります。その意は霊泉(甘い水)を飲み60年に一度実を結ぶ竹の実を食べ青桐の林に棲んでいると
云います。
 平等院鳳凰堂の屋根の飾りは有名ですが日本国政府の紋章となってい
る五七の桐はそこから来ていると言われています。
              
                   平成27年12月     八大





イチョウ(銀杏・公孫樹・鴨脚樹)

 今年もカレンダーが最後の一枚になりました。朝一番で八幡様に詣でたところ、イチョウの落葉が敷き詰められなんとも贅沢な雰囲気を味わいました。
この時期鎌倉八幡宮や神宮外苑のイチョウの落葉は有名ですが、そんなに遠くに行かなくてもこんな身近なところでも初冬の雰囲気を味わうことができますよ。


 神前の大木は今から約800年くらい前の鎌倉時代「春日部治部少輔時賢」という人物が鶴岡八幡宮を信仰・崇敬しており、その八幡宮を遥拝するために造営されたのが春日部八幡宮の始まりという。参道中央のイチョウの御神木は鶴岡八幡宮の一枝が一夜のうちに飛んできて育ったと伝えられる大木で春日部の総鎮守として崇敬を集められています。
 イチョウの原産地は中国で日本には室町時代に伝来したとされ各地の神社や寺院に植えられたが、江戸時代の中頃に日本からオランダやイギリスに伝わりその後はヨーロッパ各地に広がっていったようです。
詩人のゲーテも「銀杏の葉」と名付けた恋愛詩を作っているそうです。

イチョウあれこれ
〇 燃えにくい木材であるため火事の延焼を防ぐという意味で神社や寺院にも多く植えら
  れているが、物の本によると火を浴びると幹から水分を発生させるというが?
〇 公孫樹とは中国で公は祖父の尊称で、祖父が種をまいても実がなるのは孫の代になる
  ことからその名がついた。

〇 鴨脚樹とは葉の形が水鳥である鴨の脚の水掻きの
  形に似ているからとか
〇 東京都のシンボルマークはイチョウの葉と思って
  ましたが、都では「T」の字から由来としていると
  云いイチョウを否定していますよ。
〇 雌雄異種の樹で春の新葉とともに生じた雄の花粉
  から精子を生じて受粉が行われるが、風媒花でそ
  の範囲は周囲1㎞の雌株に影響を与えるとのこと
  です。
〇 木材としての活用は碁盤や将棋盤としての他、木
  魚やまな板に加工されて日常活用されています。
〇 街路樹としても各地で多く植えられていますが、
  最近では果実のならない雄株のみを選んで植樹さ
  れているところも多いそうです。
〇 大相撲の関取になると大銀杏という髷が結えます
  が、その語源は形がイチョウの葉に似ているから
  ということはご存じのとおりです。

短歌を一首
  金色のちいさき鳥のかたちして 銀杏散るなり夕日の岡に  与謝野晶子

                        平成27年12月1日    八大