「麦秋」の頃

麦秋 と云うけれど、まだ6月に入る頃なのに・・・秋が来るの?  秋の意味は麦が実り収穫を迎えるところから麦秋と呼ばれたのですよね。二毛作の農家では短い秋を過ごしてもう一仕事です。雨の少なかった季節ですがもうすぐそこに梅雨が迫ってくる頃、麦の刈り取りがが始まります。

麦の穂
また古い話になりますが、小津安二郎監督の名作映画にも「麦秋」のタイトルがあります。年頃の娘を持った家族が縁談を心配していたところ立て続けに結婚話が舞い込んできます。生育の早い麦は手間いらず孝行娘のようなもの、まさに実りを迎えた娘の複雑な思いを原節子が演じておりましたね、他に笠智衆や杉村春子と云った面々が好演していたことを思い出します。

日本国の半分ぐらいの地域では有難いことに同じ田んぼと畑でお米と麦が収穫できる。そのやり方を「二毛作」と云うんですよね。春の5月頃に水田に田植えをして、秋に稲を刈りとる。その後11月ごろに麦の種を蒔き3月から4月にかけて麦刈りをするようなスケジュールになっているようです。                 

アジア・モンスーン地帯最北地域の島国としての特殊な気象条件を生かして日本に於いては、水田に夏は湛水して湿潤熱帯性の水稲を栽培し冬は水を落として畑地化して冷温帯性畑作物のムギを栽培すると云う水田の米麦二毛作技術が確立した。

何となく植物って暖かい時期に育つのでは・・・?との、イメージがある方が大半かと思いますが麦は冬に芽を出すんですね。寒い冬を越えて暖かくなる時期を待つ麦って我慢強くて力強いと思いませんか? そんな麦だからこそ体に良い様々な効力を持っているんですね。冬を越えた力強い麦を想像しながら麦を食べています。

 雨 水           八 大

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