無花果(イチジク)の話

無花果
無花果は落葉低木果樹で、日本には江戸時に入ってきたそうで初めは薬用だったそうです。旬は八月の終りから十月にかけて花を咲かせずに実を付けるように見えるが実際にはイチジクの花は果実の中に咲くという面白い構造をしています。イチジクの果実を切断すればわかりますが、その内側には空洞があって、そこにとても小さな花がいくつも咲いています。 花が無いのではなく外から見えてないだけなんです。ただ普通の花とは違って花びらがありません。イチジクの実を食べるとぶつぶつしている部分を感じられますが、あれがイチジクの花なんですね。                    

イチジクは受粉によって子孫を増やさないで、花が受粉を経ずに実、ひいては種になるという単為結実(たんいけつじつ)なのです。そのため、別に花が外に出ている必要はないのです。何故そのような形になったのか不思議ですね? その答えはイチジクの進化にあるそうです。イチジクはぶどうと共に紀元前から栽培されていた果物でエジプトやトルコが原産地だそうですが、そのころに「イチジクコバチ」と云う名前の小さな蜂がイチジクの底部にある小さな穴から入り内側に産卵をしていました。そうすると、孵った幼虫は養分と外敵から身を守れる空間を確保できます。そうして安全に成長できたわけです。                  

イチジクの断面

成虫になると、イチジクコバチは花粉をまとって出てきます。そして別のイチジクに自身も産卵します。すると一般的な花のつき方をしなくても内側に咲かせたまま受粉できるので、こうした経緯で現在の花のつき方になっているそうです。昔はハチに花粉を媒介させていましたが現在は先述のように単為結実のため、「食べたらハチがいる」なんてことはありませんのでご安心ください。

旧約聖書の登場人物、アダムとイヴにまつわる話があります。 ある日、蛇にそそのかされ、神の言いつけを破ってイチジクを食べてしまいます。禁断の果実を食べたあと、無垢を失い知恵をつけたアダムとイブは、裸を恥じて局部を隠しますが、それにイチジクの葉を使ったというのです。その姿を見て神はエデンから追放したというので、イチジクの葉が楽園追放の引き金ともいえそうですね。 そのイチジクの葉っぱが恥隠しの意味があったと云われています。

イチジクの葉について一言 「恥ずかしいことや嫌なことを、無害なもので隠す」という意味で広く使われています。また、絵画や彫像で、外性器の部分を後から覆い隠すためにイチジクの葉が使われることがあります。これらは聖書の創生期においてアダムとイヴが知恵の樹から禁断の果実を食べた後に、イチジクの葉(fig-leaf)恥ずかしいと思われる物を使って裸体を隠したといわれます。

「無花果(いちじく)」と云う文字は花を咲かせずに実をつけるように見える ことに由来するそうです。古くから馴染みの深い植物で栄養豊富で美容効果もあることから身近に食用にされて来ました。

 令和4年 長月         八 大



















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