春日部の市内を流れる古利根川沿のに銚子口と赤沼地区の境に、幌墓(ほろはか)と呼ばれるところがあります。この地で亡くなった侍(さむらい)を供養するため嘉永7年(1854年)に建てられた石碑があります。此の石碑が「幌墓(ほろはか)」と呼ばれるのは、亡くなった武士が幌と呼ばれる防具を身に着けていたことからと云われています。その由来として石碑には次のような事が書いてあります。昔この地で命を落とした武者を村人が葬リ塚を築きその後、幌墓と呼ばれるようになりましたが武者の名前も古い話のために伝わらず忘れられて行きました。ところが嘉永7年ごろ、この塚の周辺で闇夜に怪しい光が出る人魂を目撃したと云う噂が広がり村人が怖がったそうで、これを聞いた銚子口の名主が武士の魂を鎮めるために石碑を立てて供養をしたと云います。その薄い線刻をたどると石碑には「武士(さむらい)の家のしるしや雉子の声」と、武者にちなんだ俳句が刻まれております。本文に続いて、葛飾蕉門(かつしかしょうもん)という俳諧一門の人々が寄せた句が12句彫られており、18世紀中ごろから19世紀にかけて市域で盛んになった俳諧文化を示す資料としても貴重なものだそうです。
処は桃屋工場の裏手にありますが、土手を上がると浅瀬でありますが古利根川の川幅が広がりを見せ長閑な景色が何とも言えません。不思議な伝承を聞くことが出来ました、私も故人の冥福を祈って合掌!
令和3年 如月 八 大
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