穀雨 と晩春

 たくさんの穀物を潤す春の雨のことを「穀雨」と云いますが春の花を早く咲けとせきたてるように降る雨に見立てた「催花雨」とも呼ばれるそうです。春の雨についてこんな表現が出来るなんて日本人の感性は素晴らしいの一言です。

この時季これと並んで私の好きな言葉に「晩春」があります。春の終わりを表す陰暦三月の異称でもあります。先日古い映画「晩春」を見つけたので軽い気持ちでクリックしましたら二時間弱・・・これが名監督・小津安二郎の大傑作と云われた作品で、原節子、笠智衆、月岡夢二のお歴々のお出ましだった。作品は「父と娘」の嫁ぐ娘と父親の複雑な心情を描いていることで,昔からその評判は聞いていたが見る機会がなかった。その簡単なあらすじを紹介します。

早くに妻を亡くしそれ以来、娘の紀子に面倒をかけてきた大学教授の曾宮周吉は、紀子が婚期を逃しつつあることが気がかりでならない。周吉は、妹のマサが持ってきた茶道の師匠・三輪秋子との再婚話を受け入れると嘘をついて、紀子に結婚を決意させようとするが、男が後妻を娶ることに不潔さを感じていた紀子は、父への嫌悪と別れの予感にショックを受けてしまう。マサの持ってきた縁談を承諾した紀子は、周吉と京都旅行に出かけ再度心が揺れるが、周吉に説得されて結婚を決意する。紀子が嫁いだ晩、一人家に残る心を決めた周吉は、人知れず孤独の涙を流す。

昭和を代表する小津安二郎という名監督の作品ですがその評価は今に語り継がれていおり、日本映画の作品で一番に挙げるとしたら「晩春」を挙げる人が多くいます。こういうと年齢が分かりますが見た後にその余韻がしばらく残りますね。

 令和2年  卯月        八 大 








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