早春の思い出

 栃木県の北部地方ではこの時期に小さな川のほとりで芽吹いている、ネコヤナギのことを「ちんころたんころ」と呼んで早春の生け花にも添えられていましたね。何とも可愛らしい姿は早春の先駆けとして各家々でも玄関先に早春の知らせとして飾っていました。何とも可愛らしいその姿は誰もが愛でておりました。

川の中の「ちんころたんころ」
春まだ浅いその頃は、二年に一度は大雪に見舞われ、中学校迄では雪の中をスキーを履いて1時間以上の雪道を歩いたことがありましたね。雪は膝ぐらいの深さでしたがバスも雪掻きが間に合わず学校に着いた頃には休校になった事もありました。

学校の先生が折角来たんだから良~く温まって(ぬくまって)餅でも食べて行きなさいと云われ、黄な粉餅ちをご馳走になった事がありました。帰りには道路の雪が踏みつけられ、所々が砂利道となりスキーを担いでの雪中での行軍となりました。スキー板と勉強カバンとを背負って帰るのが夕方になり疲れましたね。

ちんころたんころ
翌朝午前中は道路がアイスバーンになって歩きでさえ滑ってしまう程で学校は休みになったとを覚えています。路線バスはチエーンを巻いてノロノロ運転で交通はマヒ状態そんな記憶が頭に残っています。そんな大雪はそれ以来出会うことはありませんでしたが。

それから六十有余年あの頃の記憶は不思議なことに明確に残っています。何故なぜなんだろう・・・? 今、記憶を手繰り寄せてみると辿り着くことが出来た。それは流れる川の冷たさでしたね。長靴を履き慎重に足元を確認しながら「ちんころたんころ」の枝を手繰り寄せて持ち帰った。

お隣さんに3本を届け、我が家の仏様にも3本を供える・・「春はそこまで来てるよ」と 母からの一言あり!

 睦 月            八 大




















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