一源三流(いちげんさんる)

 行田市の生んだ当代一と云われた武道家、吉川栄先生の顕彰碑がさきたま古墳公園の隅にひっそりと建っておりました。二十年以上前に遭遇した時にあまりにも感動したことを覚えましたので昨年懐かしさもあって尋ねたところいくら探しても見つからなかった。
 この度近くの民家にお聞きしてやっと尋ねることが出来た。二十年経つと以前訪れた所在地が思い出せなくて、記憶の薄れてきたことを実感しつつ改めて顕彰碑を見つめるとあの時の感動が思い起こされました。吉川栄氏の銅像裏に回って黒御影石の碑文を見ると昔日の思いが込み上げてきた、それは「一源三流」の言葉であった。

 『 友のために涙を流し 家のために汗を流し 国のために血を流す 』

 たったこれだけの言葉でありましたがその時の自分の思いと合致した文で今でも忘れずに心の奥にしまっております。この三流の源は自分自身が出来ることであり人間としての誠の心であると思え、言葉だけではなく行動に移せるかどうかが本物の男としての了見であると思っています。
 今でも飲み仲間と人生を語りあうときには、「友人や家族は勿論であるが日本という国の為に血を流す覚悟はできている」と公言しておりますがその気持ちに偽りはありません。あの太平洋戦争後から平和な世の中が長く続くとつい先人の苦労を忘れている輩を見るにつけ改めて気持ちを入れ直しを入れてあげたい思いです。
 吉川先生はこの一源三流の精神を折あるごとに弟子たちに説かれていたと云われます。
                          平成30年1月    八大




















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