金木犀


毎年この時期、秋を告げるよう金木犀の花は芳香を届けてくれますが、誰にでもわかる贈り物ですね。ああ又この季節がやって来たんだ、そうするとこの後は大きな三本立ての菊の花の出番です、季節は迷うことなく順序良く訪れてくれます。微かな風の動きの中でも脂粉のかおりは子供の頃、三角ベースで草野球をやった思い出が懐かしさを思い起こさせます。隣の家の金木犀はそこそこの香りを出してくれますので秋を感じますが朝、一瞬にしてオレンジの絨毯が現れるのには何とも勿体ない気分になります・

原産地は中国西南部、今回コロナ騒ぎの震源地である武漢市辺りで近くの桂林は金木犀の名所として名高いところです。モクセイ科の常緑樹で一般には桂花と呼ばれているそうですが、和名で金木犀と書くと花の名前が何でこんな字になるのと思いますよね。そうですその由来はこの樹皮が犀(サイ)の足に似ているために中国で「木犀」と名付けられたそうで、ギンモクセイ(銀桂)の白い花に対して橙黄色の花を金色に見立ててキンモクセイ(金桂)と云われています。

日本には江戸時代初期の頃中国から渡来したが、花を見ることしか考えなかったため雄株しか入ってこなかったが挿し木で簡単に増やすことが出来たので多く庭木として採用され増えて行ったようです。雌株は冬にクコの実程の小さな実を付け、熟すと紫色になる。そんなことから中国まで行かないと実を見ることは出来ないようです。

この季節に良く降る「桂花雨」の合間を縫って地上に白い布を敷いて竹竿で木の枝を叩き花を集め、その花を使って「桂花茶」「桂花酒」が加工されこの時期に食べる桂花入りのお菓子を作られたと云われています。                           木犀や障子閉めたる仏の間   正岡子規


 令和3年  長月        八 大




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