寒ざらし蕎麦


 寒中のこの時期にしか味わえないお蕎麦があります。その名を「寒ざらし蕎麦」と云いましてその呼び名は聞いているものの季節もので中々その時期に出会うことが出来ませんでした。昨日久しぶりに野州栃木の山中に分け入ってその寒ざらし蕎麦を食べに行ってまいりました。指折り数えると30年来の贔屓の蕎麦屋さんで処は出流山満願寺の門前に店を構える福寿屋であります。

ご存知、坂東の17番札所である満願寺は徳川家康が江戸城修築の時にここ野州の白土を使用し、その効果が良かったので幕府の御用以外には諸大名の使用を禁止したと云われている。それ以来,石灰の産地となったと云われております。山路の途中には山肌を真っ白に覆った石灰工場がそびえたっておりこの先にお寺さんがあるとは思えません。

ここ福寿屋はこの地域の玄蕎麦から自動製粉により本来の味と香りを最大限に味わえる挽ぐるみ粉を使用し、田舎手打ちで名物の盆ざるそば「一升打ち、五合打ち」の大盛りを食べることが出来ます。また季節の山菜の時期に天ぷらと共に食べると一層引き立てられ、そば通の御仁には満足この上ない境地であります。

そばは秋に収穫されますが、その頃になると店先に「新そば入りました」のチラシが張られていました。寒ざらしとは秋に収穫した玄そばをを冬の厳寒期に冷たい水につけ、これを寒風に晒すと余分なアクや渋みが抜けて、甘みと風味が増し舌触りがよくなります。この製法は江戸時代に徳川家にそばを献上するために考えられた手法と云われ旨さの違いが分かります。

 令和3年 如月        八 大

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