秘すれば花 とは

 能楽の大成者で室町時代に「世阿弥」という人が居りましたが能の理論をまとめた「風姿花伝」と云うものがあります。今から700年以上前に書かれた本ですが最近ビジネス書として改めて注目されているそうです。  その中に「秘すれば花」という言葉がありますが時代を超えて受け継がれた芸の神髄について書かれています。

芸とは人々に感動を与えるもので思いもよらない感動を与えられたとき、それを「花」と云うそうです。花は演技の中でさり気なく見せられるもので、それを軽々しく人に話してしまってはどんなに素晴らしい演技や演出であったとしても花ではなくなります。役者にとって「花」とは観客に感動を与えるキモであり自分だけの物として大切に持っていて、なくてはならない物であります。

今の言葉に置き換えると花とはサプライズのようなもので、相手に心の準備をさせることなく不意打ちを食らったような感動は何倍も膨らみ余韻を伴うもので観客に感動を与えるものです。そのこころが「秘すれば花」ですね。

よく似た言葉に「言わぬが花」という言葉もありますが「言わぬが花」ははっきりと云わない方が値打ちや味わいがあるという事になります。「秘すれば花」は云わないどころか、秘密がある事さえ隠しておきなさいという教えですから、より秘密度が高いと言えます。

「言わぬが花」は自分からペラペラしゃべることで、自分の価値を下げることにもなり兼ねないことになります。余計なことは一言も言わないようにと云う戒めの意味合いもありますね。お互いすべてを見せてしまわないで秘密の部分を持っておく方がその重みを感じさせます。そういう事では何か恋愛にも通じるものがありますね。

 令和4年 水無月         八 大



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