ある子ネコの死

生まれてわずかヶ月、子ネコはスプーンの水をゴクンと飲み込んであの世に旅立った。
 ほろ酔い加減で夜道を歩いていると布のようなものを踏みそうになり立ち止まると子ネコがうずくまっていた。手を添えると温かく息遣いが聴こえるがぐったりとして動きがない。このままでは車に轢かれてしまう、どうしようと思いながらも・・その時すでに両手で抱きかかえていた。取りあえず我が家の軒下に寝床を用意し小皿に水とミルクを用意し飲ませると静かに波紋が見えたので少し安心。
翌朝心配しながら覗くと目ヤニを付けて眠っているがぐったりした様子は続いている。濡れタオルで毛並みをそろえてやる、よく見るとそれは彼岸過ぎの頃我が家の周りにうろうろしていた野良猫が3匹の小さな子を引き連れて歩いていた中の一匹であった。
 子ネコのしぐさは可愛らしく、つい餌をあげたくなる衝動にかられたがその行為は近所迷惑になるからと、思いとどまった。この時期の親子連れは私の心を内側から癒してくれた。
二日間ほとんどそのままで眠っているようだったのが、朝方突然の大雨が降ったので様子を見に行くと雨を逃れようとしたのか姿はなかった。その後夕方まで探すも見つからず、やっと見つけた子ネコは生垣の中でぐったりとしていた。まだ温もりがあったので、連れ戻して雨で濡れた毛並みを揃えてスプーンで水を与えると「ゴクン・・」と一口飲みこんだ。そして23分で息絶えた。これがこの子ネコの生涯だったのか・・・合掌!

 エジプトの神様の中にはバステトというネコの女神がおります。エジプト先王朝時代の遺跡の墓より猫の骨が発見されていることから、紀元前4000年には家畜化されていたと考えられています。ファラオの守護者、家の守護者として鼠をとる役割を持ち、人間を病気や悪霊から守る女神であると云われ、また多産のシンボルとみなされ豊穣や性愛を司り音楽や踊りを好むとも云われているようです。

今、野良猫が社会問題になっていますが野良ネコ駆除グループに対して、動物虐待は許せないグループどちらにも言い分があるようですが・・・解決策は見つからない。
家族の一員としてペットを飼うことには何の問題もありませんが、飼えなくなって手放してしまう簡単な行為が原因であることを忘れないようにしたいですね。
                                    平成297月  八大





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